クラス委員ブログ

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2017.09.02

もっと!アート散歩クラス

【第6回】アートライター藤田千彩流・現代美術の楽しみ方

今回は、アートライターの藤田千彩さんより、2017年の国内外のアートシーンを俯瞰しながら、美術鑑賞の新たな楽しみ方についてご説明いただきました。

藤田さんは、これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」「AllAbout」「artscape」「関西アートビート」などで、展覧会紹介、レビューやアーティストインタビューの執筆、書籍編集に携わってこられ、最近では、大学の非常勤講師として教鞭をとられています。

1.アートのまわりと私のまわり2017

藤田さんは、冒頭、アートは特別なものではないことを強調するために、アート作品とアーティストの関係は、野菜と野菜農家の関係のようなものだと言っていました。野菜農家が愛情を込めてつくった野菜が、消費者のお腹のなかに入るまでに、肥料・種苗メーカー、JA、運送業者、八百屋・スーパーマーケット、チラシを作る人などが介在しています。野菜と同様、アートも、アート作品が鑑賞者にみてもらうまでに、画材屋、運送業者、ギャラリー、コレクター、美術評論家などが関わっています。藤田さんが職業とするアートライターを野菜に携わる人で例えるとすると、「この野菜は美味しいですよ。こういう美味しい調理の仕方がありますよ」と告知する方だと理解していただくと良いかもしれません。

現代美術をめぐる環境はこの10年で大きく変わりました。ビエンナーレ/トリエンナーレ/芸術祭といったアートイベントが全国各地で行われるようになりました。また、10年前ですと、アートフェアは東京と大阪でしか開催されていませんでしたが、今ではそれ以外の地域でも行われるようになっています。

視野をもっと広げると、アートイベントやアートフェアは、元々、世界各地で開催されています。これまでは交通費等の問題で海外に行きにくかったのですが、LCCの普及により、海外のアートイベントやアートフェアへのアクセスが近くなっています。こうした状況変化を踏まえると、現代美術の「場所」は東京や日本に限らないものになっております。むしろ東京にいると、東京以外を知らないことになりかねません。

2.鑑賞者2.0へ

こうした現代美術をめぐる環境変化を踏まえ、藤田さんは「鑑賞者も『バージョンアップ』(鑑賞者2.0)すべきである」と提案しています。藤田さんは、鑑賞者のタイプ別にバージョンアップの仕方を説明されました。

 

タイプ1:ぐるっとパスで美術館めぐりをしたり、ギャラリーをしらみつぶしする鑑賞者

タイプ1の鑑賞者は、美術鑑賞をスタンプラリーのように受け止めている節があります。こうした鑑賞者に対しては、東京や日本を出てみることを薦めています。

例えば兵庫県の西脇市岡之山美術館で開催されている「光の旅人 幸村真佐男展」(7月16日〜10月9日)に出かけてみてはどうでしょうか。幸村真佐男さんはメディアアートの先駆的アーティストでして、メディアアートに馴染みのない方にとっては刺激的な展覧会になっています。さらに、美術館の立地も刺激的です。西脇市は兵庫県の内陸部に位置するため、東京駅を起点に新幹線を利用しても、美術館の最寄駅に到着するのが5時間前後かかるという大変な場所にあります。

また、海外のアートイベントに出かけてみると、日本のアートイベントでは感じたことのない個性のある作品に触れ合えることができます。

 

タイプ2:美術史を勉強してアートを知ったつもりになっている鑑賞者

現代美術の鑑賞においては、記憶よりも感受性が重要です。そのため、タイプ2の鑑賞者に対しては、「まずは作品を見て何か『感じる』ことが大事である」とアドバイスしています。作品を見て何か感じた上で、美術史や技法について勉強すると、もっと深く味わうことができます。

 

タイプ3:雑誌やウェブで見た展覧会に行き、美術館のカフェで満足する鑑賞者

タイプ3の鑑賞者に対しては、「自己満足の鑑賞だけでいいんですか」という問いを投げかけています。国に関係なくアートイベントに付きもののワークショップに参加したり、現代美術の作品を買ってみたりすると良いかもしれません。

このブログでは事細かく記述しませんでしたが、藤田さんの歯に衣着せぬ説明は大変面白くて飽きることはありませんでした。

 

最後に、授業とは直接関係ないですが、クイズ!!

2016年の国内の芸術祭で最も来場者数が多かったものを次の①〜④のなかから選んでください(「アートアニュアルオンライン」調べ)。

①瀬戸内国際芸術祭2016

②さいたまトリエンナーレ2016

③あいちトリエンナーレ2016

④KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭

次回は、明和電機の土佐さんがゲスト講師で来られます。次回もお楽しみに〜。

 

 

(クイズの答え)①瀬戸内国際芸術祭の104万50人です。

②は36万1,127人(第4位)、③は60万1,635人(第3位)、④は77万6,000人(第2位)です。

 

※「クラス委員ブログ」に記載された意見や表現などは、各記事の執筆者個人の意見・表現であり、
丸の内朝大学企画委員会によるものではありません。

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