朝大学Stories vol.004

頭でなく身体で考えることが、
健康なワタシへの近道。

椎名由紀
ZEN呼吸法クラス講師

呼吸法との出会いから、
たった一年で“呼吸アドバイザー”に

自分のことを「健康そのものです」と胸を張って言える人は、一体どれくらいいるのでしょう。働き盛りの朝大学世代のみなさんの中には、病気でなくても、肩こり、便秘、冷えなど、何かしらの不調を抱えている人が多いはず。呼吸アドバイザーの椎名由紀先生は、かつての絶不調時代を“呼吸法”によって乗り越え、「今不調知らずでほんとに健康です!」とキラキラと自信に満ちあふれた表情で話します。

そんな椎名先生が、自身の生徒だったみそらあつ子先生と一緒に担当するのが「ZEN呼吸法クラス」。朝大学ではこれまで7回開催し、すべての回で満員御礼という人気クラスです

椎名先生が通常行っている定期レッスンでは、初心者向け講座が3ヶ月待ちという状態。日本だけでなく海外からの参加者も増えているそうで、世界中で呼吸のパワーが必要とされていることがわかります。

「もう息してるだけで、嬉しくてしょうがないんです。自分より不調な人なんていないと思ってた、あの私がこんなに健康になれるんだから、世の中の人たち全員、健康で元気になれると思っています」

大学卒業後、ラジオのパーソナリティーを務め、一時は音楽家としても活動していた椎名先生。呼吸アドバイザーに転身したのは、自分にとって“超ナチュラル”な流れだったと振り返ります。

高校2年の頃から急激な身体の不調が始まり、それから15年間ありとあらゆる手を尽くすも、一向に回復しないどころか症状は悪化するばかり。そんなとき、知人から呼吸法をすすめられたのです。

「高校2年の時、学校のことも生徒会のことも部活動も受験もすべて全力でやり過ぎて、早くもどっかんと身体に怒られたんです。かなり落ちてしまい、31才で呼吸法に出会うまでの15年間、一日も頭痛がない日はありませんでした。便秘、冷え、肩こり、月経痛や生理不順、関節炎、歯痛、目眩、吐き気、低体温、低血圧……と、ありとあらゆるところがダメになってしまって。周りの人たちには『不調の百貨店でーす』と冗談で言ったりもしていたんですが、実際は決して笑えない状況で、生きてるのがつらかったんです。みんなが慢性の不調だと思っている症状って、病気ではないので、病院で治してもらえるものじゃないんですね。当時はそれに気づかなかったので、頭痛の原因を探りに大きな病院を転々として、どこに行っても『異常なし』と言われ続けて……。一生そのままの不良品の身体に生まれてしまったんだ、とほんとに思っていました。やれることはすべてやりましたから。

20代後半からは微熱と関節炎が続くようになり、『もう無理かも』と弱気になっていた時、たまたま友人に誘われた食事会で出会った人に、『呼吸法がいいわよ』と言われたんです。最初は、正直何を言っているのかわかりませんでした。15年間最先端医療も含め、すべてのことをやってどうしようもないと言われたのに、『呼吸?』って。それで、何の期待もせずに、半信半疑でやってみたら、3日に一回くらいしか来なかったお通じがすぐに来たんです。次の日もやってみたら、またちゃんと来たんですね。続けていくうちに、出せるものを出して身体の中の風通しがよくなったのか、みるみるやせていったんです。そしてふと振り返ると、肩こりがひどくて毎週行っていた鍼に、2週間行ってないことに気が付きました。これはもう『呼吸だ!』と思いまして。真面目にやり出したら、3ヶ月くらいで健康そのもののまったく別人になっていました。これは絶対多くの人に伝えないと!って思いました」

それからすぐに友人を集めてレッスンを行い、呼吸法の効果を実際に検証すると同時に、呼吸と名の付くあらゆる本や資料を読み漁り、独学で研究を進めました。すると、“白隠”という名前を至るところで目にするようになったのです。 「江戸時代に生きた白隠禅師が、著書の中で呼吸とイメージによる健康法を説いていました。これを読んだ時、これほどいい健康法を遺してくれたのに、今誰も知らないなんて、もったいないと思ったんですね。それで勝手ながら継承することにしました。禅って継承の哲学ですから。もうこのための15年だったんだなと思いましたよ」

白隠の遺した健康法をもとに、「ZEN呼吸法」として現代風にメソッド化。不調に悩む働き盛りの世代に向けて、本格的な講座を開始しました。呼吸法に出会って、たった一年でここまでやってのけてしまう、そのスピード感に圧倒的なパワーを感じます。

「話す」仕事も継続中。こちらはTV番組のナレーションの仕事風景。即興性の高いMCも好きで、韓流スターイベントのMCは6年ほど続けている。

「31才で出会い、今40才ですが、ほんとに年々健康になって、年々元気になってきて、年々いい感じなんですよね。西洋文化に押されて、本質を忘れている多くの日本人が不健康になっていますが、本来日本人は優れた民族で、質の高い文化を持っています。これをしっかり取り戻して、みんなが健康になることが“平和”につながると思っています。『ZEN呼吸法』のめざすところは、世界平和なんです。ちょっと大げさかもしれませんが、これって健康じゃないとできないことなんですよ」

健康とは“自然”であること。
呼吸を変えれば、人生も変わる

今でこそ不調に悩む多くの人たちの支持を得ている「ZEN呼吸法」ですが、講座を始めた当初は、なかなか思うように参加者が集まらなかったそうです。でも椎名先生は「世の中の役に立つ、みんなが知るべきことだと自信を持っていたので、絶対花開く時が来る!と確信していました」と言います。その言葉の通り、3年ほど経った頃から徐々に口コミで評判になり、5年目で雑誌に取り上げられたことから、一躍その名を知られるようになりました。

「ここまで来るのに、苦労の連続でした。でも、今はそんなことも必要なステップだったと思い出して、フフって笑えるようになりました。だって私、健康ですからね(笑)」

椎名先生によると、健康というのは“自然な状態であること”を言うのだそうです。例えば、セミは必ず夏に出てくるし、桜はちゃんと春に咲いて、人々の心を和ませてくれる。人間だけが頭で考え過ぎて、不自然な身体の使い方になっていることが、不調を招く根本的な要因だと指摘します。 「頭で判断すると、損得で考えてしまうので、大抵間違ってしまうんです。頭を使い過ぎることで、身体が使えなくなって、どんどんダメになり、身体の中であくせく働いてくれている“社員たち”に怒られるわけです。肩こりの人も多いと思いますが、それは自分で肩に力を入れて血流を悪くして、冷やしているだけ。そういう状況はすべて自分で作っているものなんです。そんなことを働き盛りの人たちは知りませんよね。みんな便秘で冷え性で肩こりだから、しょうがないと思い込んでしまっていますが、本来自然物の人間としては、不自然なこと。酷使し過ぎて、社長である自分自身が使い方を正しくしたり、自然に戻さないから、ある時ドカンって社員たちがクーデターを起こすんです。そういうことを知るだけでも、大きな変化につながりますよ」

雑誌「日経ヘルス」のセミナーで講師をするなど、様々な場面で「ZEN呼吸法」を伝える。一人ひとりの姿勢や呼吸を見ることができる、少人数講座も増やしていきたいそう。

すべての授業が終了した後、受講生に感想を聞くと、9割の人たちが『身体や心に変化があった』と答えるそうです。

「呼吸は生きているということなので、それだけ身体の中に影響があるんです。だから、息を変えたら生き方が変わるんですよ。私も生き方が180度変わりました。自分が変われば、世界はいくらでも変わります。今健康だからこそ、自信を持ってそう言えますね」

ラジオパーソナリティーとして培ってきたテンポのよさとユーモアに満ちたトークで、授業中はいつも笑いとポジティブなエネルギーにあふれています。 「息をしているだけで楽しいので、“楽しくしよう”なんて思ってないんですけどね(笑)。せっかく備わっている能力が100あるんだったら、全部使いたいと思うんです。不健康時代は、5くらいしか使っていなかったんですが、これだけしか使わずに文句を言ってたなんて、今考えるとおかしいんですよ。周りに健康な人がいないので、みんな健康というのがわからなくなっていますが、人間は一人ひとりがすごい存在なんです。大自然の神秘で、不思議の塊のすばらしい機能を備えているものだということをまずは知ってほしい。そういうことを、日本の中心部で働いている人たちが知らないなんて、もったいない!最も働き盛りの人たちが集まるこの中心から、大きく広げていきたいと思っています」

年々進化を続ける「ZEN呼吸法」。
まずは自分の身体を知るために、始めよう。

不健康からド健康の過程をすべて味わってきた椎名先生。その心の内から湧き出てくる潔い言葉の一つひとつが、大きな気付きと元気を与えてくれます。

「私のような元気な大人がちゃんといるということだけでも、大きいんじゃないかなと思います。やっぱり希望が持てますよね。例えば、肩こりは身体を緩めるだけで楽になるなんて、誰も教えてくれなかったから知らないだけなんです。今日本で呼吸法を研究している人は、私たちの世代にはほとんどいません。だからこそ、働き盛りの人たちに、呼吸法を気軽に取り入れてもらえるよう伝えていくことが、私の使命だと思っています」

「ZEN呼吸法」はやればやるほど、つまり年をとればとるほど、上手になってくるものだそうです。日々多くの生徒さんと関わる中で、椎名先生自身も学びを深め、「ZEN呼吸法」は年々進化を続けています。

「白隠は70才の時に、20代、30代の時より気力も体力も今の方が全然いいと書き遺しています。私も31の時より今の方が断然いい。だから、年を重ねることがすごく楽しみなんです」

“周りもみんなそうだから、こんなものだろう”と思い込んで諦めるのではなく、まずは自分の身体と向き合い、よく知ることが、不調を解決に導く大きな一歩になりそうです。

「年代も男女も関係なく、同じことに興味がある人ってなかなか社内では見つからないと思うんです。このクラスに参加することで、来てよかったと思える一生の友達ができるかもしれないし、そこで呼吸を深めて、身体も心も調子がよくなれば、“一石百鳥”くらいの価値がありますよね。迷ったら動いた方がいいですし、少しでもいいなと思ったら動いてみるべきだと思います。明日生きてるかどうかもわからないので、次があると思っていること自体がちょっと図々しいんじゃないかな(笑)。ほんとにそう思いますよ」

頭ではなく、身体で考え、まずは行動あるのみ!

椎名 由紀
ZEN呼吸法 呼吸アドバイザー

早大一文哲学科卒業、第40代ミス東京第1位、体内対話株式会社代表。体質だと諦めていた心身の不調を、書画でも名高い江戸中期の禅僧「白隠」の呼吸法で克服。自身の経験を踏まえ「ZEN呼吸法」としてメソッド化。著書に『若返り美人呼吸』、『呼吸美メソッド』他。10月末には新刊も発売予定。

【2015 年度担当講座】

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